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大阪地方裁判所 昭和42年(わ)796号 判決

本籍

堺市中瓦町一丁六一番地

住居

堺市新町九八番地

飲食業

和田良馬

大正一二年三月三一日生

本籍

堺市一条通八丁一〇三番地

住居

大阪市住吉区帝塚山東二丁目二四番地

飲食業

和田百馬

大正八年九月一九日生

右両名に対する所得税法違反各被告事件につき、当裁判所は検察官緒方政昭出席のうえ審理をとげ、つぎのとおり判決する。

主文

被告人和田良馬を罰金八〇〇萬円に処する。

被告人和田百馬を罰金一五〇〇萬円に処する。

右各罰金を完納できないときは、金三萬円を一日に換算した期間被告人両名をそれぞれ労役場に留置する。

訴訟費用は全部被告人両名の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人和田良馬、同和田百馬は、共同して料理飲食業を、被告人和田百馬は右事業の外単独で宅地造成販売業を営んでいるのであるが、

第一、被告人和田良馬は、所得税を免れようと企て、

一、昭和三八年度における所得金額は一七、八八一、五六一円、これに対する所得税額は八、二七〇、六三〇円であるにも拘らず、事業収入金の一部を除外する等の不正行為により、右所得金額中、一四、八二五、八九九円を秘匿した上、昭和三九年三月一六日、大阪市南区南税務署において、同署長に対し、所得金額三、〇五五、六六二円、これに対する所得税額が七〇八、二一〇円である旨、過少に虚偽記載した同年度の所得税確定申告書を提出し、よつて同年度分の所得税七、五六二、四二〇円を逋脱し、

二、昭和三九年度における所得金額は五、二〇一、一二四円、これに対する所得税額は一、六五九、五二〇円であるにも拘らず、前同様の不正行為により、右所得金額中三、一九三、九二八円を秘匿した上、昭和四〇年三月一五日、前記南税務署において、同署長に対し、所得金額が二、〇〇七、一九六円、これに対する所得税額が三七八、六七〇円である旨、過少に虚偽記載した同年度の所得税確定申告書を提出し、よつて同年度分の所得税一、二八〇、八五〇円を逋脱し、

三、昭和四〇年度における所得金額は一七、六七二、〇八六円、これに対する所得税額は八、二二八、六一〇円であるにも拘らず、前同様の不正行為により、右所得金額中一一、八六一、六〇五円を秘匿した上、昭和四一年三月一五日、前記右税務署において、同署長に対し、所得金額が五、八一〇、四八一円、これに対する所得税額が一、九四八、九六〇円である旨、過少に虚偽記載した同年度の所得税確定申告書を提出し、よつて同年度分の所得税六、二七九、六五〇円を逋脱し、

第二、被告人和田百馬は、所得税を免れようと企て、

一、昭和三八年度における所得金額は二八、二二四、二〇七円、これに対する所得税額は一四、三四〇、七二〇円であるにも拘らず、前同様の不正行為により、右所得金額中二二、二〇〇、五四五円を秘匿した上、昭和三九年三月一六日、前記南税務署において、同署長に対し、所得金額が三、〇二三、六六二円、これに対する所得税額が六六四、七四〇円である旨、過少に虚偽記載した同年度の所得税確定申告書を提出し、よつて同年度分の所得税一三、六七五、九八〇円を逋脱し、

二、昭和三九年度における所得金額は一六、三七七、六二〇円、これに対する所得税額は七、四〇三、八三〇円であるにも拘らず、前同様の不正行為により、右所得金額中一四、三七〇、四二四円を秘匿した上、昭和四〇年三月一五日、前記南税務署において、同署長に対し、所得金額が二、〇〇七、一九六円、これに対する所得税額が三二二、九一〇円である旨、過少に虚偽記載した同年度の所得税確定申告書を提出し、よつて同年度分の所得税七、〇八〇、九二〇円を逋脱し、

三、昭和四〇年度における所得金額は二七、三二四、〇七四円、これに対する所得税額は一三、七四八、一一〇円であるにも拘らず、前同様の不正行為により、右所得金額中二一、五一三、五九三円を秘匿した上、昭和四一年三月一五日、前記南税務署において、同署長に対し、所得金額が五、八一〇、四八一円、これに対する所得税額が一、九三九、三八〇円である旨、過少に虚偽記載した同年度の所得税確定申告書を提出し、よつて同年度分の所得税一一、九〇八、七三〇円を逋脱し、

たものである。

(証拠の標目)

判示冒頭事実につき

一、被告人和田良馬の検察官に対する昭和四二年二月一四日付、同年同月二七日付、同年三月一日付各供述調書

一、被告人和田百馬の同年二月一四日付、同年同月二三日付、同年同月二五日付、同年同月二七日付、同年同月二八日付各供述調書

判示第一同第二冒頭事実につき

一、和田良馬の検察官に対する同年二月一八日付供述調書

一、和田百馬の検察官に対する同年同月一七日付供述調書(二五丁のもの)

判示第一、同第二の各事実について

一、松永茂樹の検察官に対する供述調書八通

一、和田百馬の検察官に対する昭和四二年二月一五日付、同一七日付(二通)同二一日付、同二二日付、同二三日付、同二五日付、同二七日付、同二八日付、同年三月一日付(二通)各供述調書

一、和田良馬の検察官同年二月一八日付、同一九日付、同二一日付、同二五日付、同二七日付、同年三月一日付各供述調書

一、第二四回公判期日における被告人両名の各供述

一、第一二回公判調書中の被告人和田百馬の供述部分

一、第一三、一九回公判調書中の被告人和田良馬の各供述部分

一、第九回公判調書中の証人松永茂樹の供述部分

一、平尾元助の検察官に対する供述調書

一、押収してある売上対比表(昭和四三年押第二六九号の七)

一、銀行調査書類その一Aおよび同B

一、売上関係調査書類

一、押収してある売上帳日記帳五綴(同号の符号一二)

一、仕入関係調査書類

一、釣堀関係調査書類

一、押収してある手当明細表二枚(同号の一三)

一、押収してある金銭出納帳二冊(同号の一七)

一、押収してある借入金明細表一綴(同号の一六)

一、和田佐和子出納帳関係調査書類

一、証人高木茂雄の当公判廷における供述

一、第一四回公判調書中の証人玉田輝男の供述部分

一、第一六回公判調書中の証人藤原佐枝子、同鶴田京子の各供述部分

一、鑑定人高木茂雄の鑑定書

一、玉田輝男作成の証明書四通(サパークラブ淀、石亭に関する分)

一、押収してある設計図五〇枚(同号の二七ないし三一)

一、小阪啓敏作成の証明書

一、押収してある昭和三八年分損益計算書、貸借対照表、決算付属書類一綴(同号の一九)

判示第一、第二の各一事実につき

一、玉田輝雄作成の証明書一通(サパークラブ青い城に関するもの)

一、押収してある昭和三八年度元帳一綴(同号の一)

判示第一、第二の各二事実につき

一、押収してある売上帳(鯉)一冊(同号の一四)

一、押収してある仕入帳(鯉)一冊(同号の一五)

一、押収してある昭和三九年度元帳一綴(同号の二)

一、第一五回公判調書中の証人大畑博、同橘田吉平の各供述部分

一、玉田輝男作成の証明書一通(洋酒喫茶富士に関する分)

一、住江木工株式会社、協栄建設株式会社作成の各証明書

一、証人八瀬山金次郎の当公判廷における供述

一、押収してある昭和三九年分貸借対照表、損益計算書、決算付属書類一綴(同号の二〇)

判示第一、第二の各三事実につき

一、押収してある売上日計表一綴(同号の八)

一、押収してある営業日誌ノート一冊(同号の九)

一、押収してある青い城ノート一冊(同号の一〇)

一、押収してある売上帳(鯉)一冊(同号の一四)

一、押収してある仕入帳(鯉)一冊(同号の一五)

一、第一七回公判期日における被告人和田百馬の供述部分

一、証人尾形孝子、同村上宥史、同春木綽男の当公判廷における各供述

一、勝元秀行作成の証明書

一、玉田輝男作成の証明書(サパークラブ笠に関する分)

一、押収してある設計図三枚(同号の三二)

一、押収してある昭和三九年分損益計算書、貸借対照表、決算付属書類一綴(同号の二〇)

一、押収してある昭和四〇年分決算資料一綴(同号の二六)

判示第二の一、二につき

一、伏尾土地関係調査書類

判示第二の各事実につき

一、栗山育雄の検察官に対する供述調書

判示第一の一事実につき

一、被告人和田良馬の所得税確定申告書写(昭和三八年分)

判示第一の二事実につき

一、同申告書写(昭和三九年分)

判示第一の三事実につき

一、同申告書写(昭和四〇年分)

判示第二の一事実につき

一、被告人和田百馬の所得税確定申告書写(昭和三八年分)

判示第二の二事実につき

一、同申告書写(昭和三九年分)

判示第二の三事実につき

一、同申告書写(昭和四〇年分)

なお、当裁判所が認定した増差犯則所得および税額ならびに損益計算書を末尾に添附する。

(法令の適用)

被告人和田良馬の判示第一の一、二、同和田百馬の判示第二の一、二の各所為は、後記昭和四〇年法律第三三号所得税法附則三五条により、昭和二二年法律第二七号の所得税法六九条一項、二六条一項一号に、同和田良馬の判示第一の三、同和田百馬の判示第二の三の各所為は昭和四〇年法律第三三号所得税法二三八条一項に各該当するので、各所定刑中罰金刑を選択し、判示第一の各罪は被告人和田良馬につき、判示第二の各罪は被告人和田百馬につきそれぞれ刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪につき定めたる罰金の合算額の各範囲内で被告人和田良馬を罰金八〇〇万円に、被告人和田百馬を罰金一、五〇〇万円に各処し、同法一八条により、右罰金が完納できないときには金三万円を一日に換算した期間各被告人を労役場に留置し、訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文によりその全部を被告人両名に負担させる。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 池田)

右は謄本である。

昭和四七年四月一七日

大阪地方検察庁

検察事務官 加藤善行

和田良馬

〈省略〉

和田百馬

〈省略〉

(共同事業分)

損益計算書(事業所得)

〈省略〉

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